無濾過とは、蒸留後の焼酎を完全に濾過しない事。完全に濾過しないものや、油取りを行ったり、多少の濾過を行うものがある。
特徴
蒸留後の焼酎は白濁している。これは、焼酎中にフーゼル油などの油滴が散らばっているためである。(牛乳が白く見えるチンダル現象と同じ理由)
このフーゼル油は焼酎のクセ・臭み・うま味のもとでもあり、取り除くことによりクセが取れ特有の旨味がなくなる半面、飲みやすくなる。
蒸留後しばらく置いておくと油や不純物が表面に浮いてくるため、油膜が張った状態になる。これを取り除くことを「油すくい」や「油とり」などという。
■油取り(油すくい)とは
油すくい後の焼酎は通常であればフィルターにかけられ、油などがほとんど残らないよう、無色透明になるまで濾過される。
しかし無濾過では、手作業による油とり・フィルターによる濾過を行わない、または多少行うが、うっすら白く濁った状態をキープさせ、焼酎独特のクセや旨味を残している。
完全にフィルターを通さないものを「完全無濾過」などと表現したりする。また、多少フィルターを通したものや、手作業で油取りを行っただけのものを「荒濾過」という。これらに明確な区別はなく、前述のとおりこのすべてを「無濾過」という場合もある。
■荒濾過とは
また、製法の都合上、新酒焼酎に多い。
■新酒とは
無濾過のメリット・デメリット
無濾過のメリットとしては、その飲みごたえや味わいが一番大きい。通常味わえない独特のコクや旨味が味わえ、この無濾過を求める焼酎ファンも多い。
そして瓶内でも貯蔵熟成が進み、熟成させたものは甘みや丸みが際立ち、大変味わい深くなることも魅力の一つと言える。
ただし、油分の残った焼酎は、油の酸敗が起こりやすく注意が必要となる。酸敗の条件は主に3つあり、1つは紫外線、2つ目は高温状態、もう1つは空気(酸素)に触れること。
つまり、未開封のものを冷暗所で保管しておくには問題はなく、熟成が進んで甘みが増すと言われている。反対にこの条件の通りでないと油が酸敗し、異臭や雑味が出てしまう。